ふるさとの家から
ルカ
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マーコ
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本田哲郎
相談室
トリヤマ
「健康相談室」より
梅田道子
2階・ともの広場
つつみ としひろ
事務室より
ふるさとの家で必要なもの
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「ふるさとだより」2005年6月

直線上に配置

相談室から    トリヤマ


 今年に入り、この5月迄で約60人の方が生活保護を受けて野宿から脱出しました。その内8割の方がアパートへ入居、2割の方は病院入院や施設入所でした。人数だけみると数年前と比べ7割位に減りましたが、アパートに入居するまでの手間と時間がこれまで以上に必要な場合が多くなったと思います。

 以前は65歳以上か、それ以下の年齢の場合は働けない病状の証明が必要で、アパートを借りてからしか生活保護の申請ができませんでした。今は失業状態の野宿者に敷金の支給がされるようになりました。そのためにはまず病院で診察を受け「軽作業可」と判断されると、役所から職安に通うよう言われます。「軽作業なので週2,3日ぐらい、一日5時間ぐらいの仕事を探せばいい」と相談室で助言します。しかし、本人は住むところがないので雇ってもらえるか否かはべつにして住み込みの仕事を探したいと思います。いくら住む所を後で用意するから「通いの仕事を探すように」と言っても納得できなかったり、もう自分は働けないのかダメやと落ち込んだりします。実際、軽作業で通いの仕事も見つかりません。そういう風に職安に何回も通い仕事が無いことを証明したり、窓口に何回も行ったりなど時間が掛かるので、本当にアパートに入れるのか疑心暗鬼になり結果的に間延びしてしまうこともありますし、付き添いがないと手続きがスムーズに行かない人もいます。

 一方で、すでにアパートで暮らしている方もより高齢化してきました。5年前、65才になって生活保護を受けた方はもう70才です。介護が必要になる方、病気等でアパートでの生活が難しくなり施設やグループホームへ入る方もいます。家族もなく、他に頼る所のない、アパート入居者からの相談がこれからどんどん増えてくるでしょう。

                                                 

 そして病院、施設、介護という名前があっても、中身が伴わない所がまだまだあります。例えば@車で迎えに来てくれるという理由でよく運ばれる病院(どんな治療が行われるかは二の次)A本人の希望だといって認知症の患者を退院させる精神病院(その本人は野宿に戻り放置される)B入寮しているアルコール依存症の方がスリップ(再飲酒)した時に規則を破ったからと退寮させる施設(病気ならば罰ではなく治療が必要)・・・などなど。

 野宿から畳の上へということが第一の目標ですが、病院での治療や寮での生活訓練やヘルパーの介護の中身を考える事もひとつひとつ始めなければとあれこれ悩んでいます。そして僕自身、考えてみると「入院」とか「入所」とか「介護保険利用」とか表面的な言葉で片付けて納得しようとしていることが多いなぁと思います。相談活動は決して効率はよくなく、結果も得られず、無駄だったかなぁと思えることも多いですが、意味がなかったことはありません。あれこれ悩み、試しながら活 動を日々続けています。