「ふるさとだより」2002年11月

直線上に配置

「ふるさとの家から」 Fr.ハインリッヒ
「談話室1」
「談話室2」
「2階・ともの広場」 堤 年弘
「1年間ボランティア」 小澤 尚史
「缶のつながり」 豊島治
「相談室」 マエダ
「ケアステーションふるさと」 浜口 功雄
「ケアステーションふるさと」 堀部 敬子
「反失連は野営闘争中」 本田 哲郎
「事務室より」
「ふるさとの家で必要なもの」

「缶のつながり」     豊島治

 夏の暑さもおさまったある日、「シノギにあった」といってふるさとの家にやってきたTさんは、傷と痔で顔がゆがんでいるように見えました。二週問のケアセンター滞在が決まり、向かう途中、Tさん本職は大工だったこと、9年前から釜にきてひたすらアルミ缶を拾って生計をたてていたことを話してくれました。
 彼とケアセンターに行く途中、彼が寄りたいところがあるといっていた先はアルミ缶を買い取るところ。大阪市内にも扱いをする業者はいくつかあり、買い取り価格も微妙に異なります。一番買い取り価格の高いところに皆行くかといえぱ、そうではなく、買い取り場の親方との人間関係、恩が一番擾先だとTさんはいいます。Tさんは親方と短く別れの挨拶をすると、小さなカバンをもって戻ってきました。その親方は後ろから「ふるさとの家さん信用しているから、しっかり世話やってくれよ1」と言われ、とても身の引き締まる思いがしました。今では傷はよくなり、表情が明るくなってきました。アルミ缶や段ボール回収のノウハウは死活問題だから秘密にしておきたいもの。「だけどな、」といって話してくれたTさんは現在、生活保護の申請となりました。
 アルミ缶は一キロl00円が現在一番高い買い取り価格だそうです。トラックに満載になっても約三万円にしかなりません。生きようという想いは軽くうけとられ、運ばれていくようです。